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2016/10/30

ポメラDM200はやっぱり“クラウドエディター”だった

 液晶ディスプレイとキーボード(ソフトウェアキーボード含む)、それにディスクスペースの組み合わせがなんになるのかは、その製品のコンセプトによって変わってくる。

 やはりポメラはDM200になって、クラウドエディターになったといえるのではないだろうか?

 ポメラは、パソコンのエディター的な操作性を実現している。Ctrl+Aで全部選択、Ctrl+Vで貼り付けといったショートカットキーでの操作が可能になっている。これはポメラの伝統でもある。その意味で、パソコンからエディター部分が独立したものといえなくもない。

 またDM200から採用された無線LAN機能もネットに接続するためというよりは、クラウド上のディスクスペースにファイルを送るためのものだ。さらに後述する印刷機能もこの無線LAN機能で実現されている。

 話をもとにもどそう。

 上記の組み合わせ、すなわちディスプレイ、キーボード、ディスクスペース+αで構成される製品の中に、たとえばPDAも電子辞書も、スマートフォンもタブレットもすべて含まれる。要はその機器の目的・性格によって、ここにどんなものが組み合わされるかがかわってくるだけで、基本的な構成は上記のものの範疇に収まる。

 たとえば、本体に直接つけられたボタン類・ジョイスティックをキーボードの変形と見なせば、携帯ゲーム機になる。

 OSとOS上の各種アプリに加え、常時接続の回線契約とその前提となる通信手段が内蔵されて組み合わされていた場合、そのサイズが小さければスマートフォンだし、大きければタブレットだ。最近ではこの中間にファブレットと呼ばれる大型のスマートフォンも出現している。

 また、ディスクスペースに英和・和英などの各種辞書データを内蔵し、キーボードを装備すればこれは電子辞書となる。この場合、液晶はモノクロでもかまわない。

 ただ、最近の電子辞書はなぜかより高機能になったりしていて、それはとりもなおさず、上記の仮説を図らずも裏付けているようにも思う。

 より大きな液晶ディスプレイと、大容量のディスクスペースを持ち、そこにPC用のOSや各種ソフトウェアがはいっており、タイプしやすいキーボードや、各種外部機器接続のためのインターフェースを持って入れば、それはノートパソコンとなる。ノートパソコンはデスクトップパソコンの可搬タイプとして登場した出自から考えると、各種の外部接続のインターフェース(有線、無線を問わず)は不可欠だ。それは具体的にはUSB端子やBluetooth、無線LAN機能だろう。

○ポメラの構成要素には、ワープロ的な面もある

 前置きが長くなったが、さてでは、ポメラはなんなのか。

 一部にこれはワープロだという論もある。これは、部分的にはあっているが、たまたまの巡り合わせによって、そういう面を備えたのではないかと筆者は考えている。

 ポメラの構成を見てみると、そのことがよくわかる。

 ポメラDM200はモノクロ液晶ディスプレイにキーボードを組み合わせている。ディスクスペースには、おそらくOSに相当するであろうソフトと、エディター、それに各種辞書と簡易なカレンダー機能が載せられている。

 さらにDM200からは、無線LANに対応。クラウドとのシンクロが可能になった(iOS、MacOS利用の場合)。またこの機能を利用し、無線LAN対応プリンターによる印刷も可能になっている。

○ポメラはワープロなのか?

 で、“ワープロかどうか”だ。

 ポメラは、あくまでテキスト作成という目的に特化した機械だ。今、“端末”とうっかり書こうとして思いとどまった。ポメラは端末ではない。ネット接続が前提だったり、その機能を持っていたりはしないからだ。

 無線LAN対応もWeb閲覧のためではない。DM200はメール送信はできるが、それも作成した文章をクラウド上に送るための手段としてであり、メール端末というわけではない。

 やはりと言うべきか、DM200は今回も文書作成に特化したコンセプトで登場した。そして、2016年時点の文書作成は、メールや資料の下書きであり、あるいはEvernoteに送るためのメモ書きだったりする。

 この点は、作成した文書を文字修飾してフォーマットを整えてから印刷することを最終目的としたワープロ専用機とは大きく異なる。ポメラには文字修飾機能がないからだ。

 ポメラがワープロ専用機と共通する点があるとすれば、それは、ネット接続機能がないという点だろう。これは実はある意味偶然の共通点だ。ポメラは、常時接続が当たり前になり、パソコンからスマートフォンに至るまでの各種デジタル機器が常にネットに接続されている現時点で、あえてネット接続機能を排除している。10月の記者発表の席でもそれは強調されていた。

 ワープロ専用機はどうか。ワープロ専用機も当然のことながらネット接続機能はなかった。これはポメラとは事情が異なる。そもそもワープロ専用機が売られていた'90年代ぐらいまでは、インターネットはおろかパソコン通信ですら、ごく一部の好事家のものだった。学生からサラリーマンにいたるまで誰もがSNSのアカウントを持ち、常にネットにつながっている時代ではなかった。

 まとめるとこうだ。ポメラは常時接続の時代にあえてネット接続機能を実装しなかった。ワープロ専用機は、接続すべきネットの利用が一般的ではない時代の機械だったのでその機能はほぼなかった(※1)。
 ポメラがもしワープロ的というのなら、その部分だろう。
 もっともDM200は、無線LAN機能を用いて、文書を対応プリンターからプリントできる。文字修飾機能を問題にしなければ、これはワープロの復活と言えなくもない。
 ともあれ、現時点ではポメラはクラウドエディターという全く新しいカテゴリーの製品ではないかと思う。そしてこのジャンルには競合製品はない。同じ価格帯のタブレットも、低価格ノートPCも、本質的には違う。それがわかっているからこそ、ポメラは製品として市場が成立しているわけだし、ユーザーもそれを支持したのだろう。またその結果として、シリーズが継続し、DM200誕生につながったわけだ。
※1 ワープロ専用機の一部には、オプションとしてパソコン通信用モデムと専用通信ソフトが提供されているものがあった。筆者はかつて、プリンターを内蔵しないワープロ「東芝ルポ90B」とポケットモデムを接続して利用していたことがあった。

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