黒歴史を抱えた菅未里さんが文具の官能性能にめざめ、文具ソムリエールになるまで。 #bungu
『文具に恋して』(洋泉社)。
「マツコの知らない世界」出演でいちやくそのキャラクターに注目が集まっている菅さんの初の著書です。で、タイトルやご本人のルックスからふわっとした文具エッセイなのかと思いきや、決してそうではありませんでした。
本書の要素をまとめると、タイトルのようになります。すなわち
1回目のテレビ出演でも語られた黒歴史部分
文具の官能性能に目覚めるまで
文具ソムリエールとしてのおすすめ
となります。
黒歴史(※)とは、菅さんの場合、文具を通じて友達と話せるようになったというエピソードですね。ついついその部分だけが取り上げられがちですが、ご本人の文章でもう一度確認できます。これがChapter1。
そして官能性能です。
たとえば1ダース入りの箱の中で鉛筆どうしがぶつかるからからした音。
あるいは、オニオンスキンペーパーのでこぼこした表面が重なるときのシャリシャリした音の感じ。
さらには、鉛筆の削りかすの形などが好きなのだそうです。
本書のChapter3では、これがこれでもかと語られています。
ふつうに考えるとややネタっぽい印象のエピソードですが、ご本人が語ると説得力が違います。「そんな見方があるんだ」と驚かされるわけです。
蛇足を承知で私のフレーズを付け加えておくと、“ペンと紙の間にはエロスがある”わけです。
そして文具ソムリエールとしての顔。たとえばChapter2では、風呂場、接客、自宅などシーンに合わせた文房具の利用提案、および具体的な商品が出てきます。これもそれらが使われる場合の必然性が背景にあります。単なる紹介にはなっていません。
ソムリエールとしての積極的な提案のエピソードが堪能できるのは、Chapter5です。がっしりした手の男性客、抜けるような色白の女性客のそれぞれにどんなペンをコーディネイトしたか。そのエピソードからわかる菅さんの視点は、それまでの文具本では語られなかった種類のこと、具体的には“人と物との色や印象をベースにした組み合わせ”です。
文具は道具であり、書き味やブランドヒストリー、使うシーンなどで語られてきました。
そして、使い手がどんな人で、どんなものが似合うか。それは本書『文具に恋して』がはじめて触れた着眼点なのではないか。そんなふうに思いました。
文具は実用品であり、ファッションです。そしてその人を語るものでもあります。
菅未里という人が、文具ソムリエールを名乗っているのは伊達ではない。そんな読後感の一冊です。是非。
※∀ガンダム見てました
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