2014年手帳短観 #bungu #techo #手帳
そろそろ手帳なシーズンでもあるので、手帳関連のことを書いておきます。
2013年後半時点における手帳はざっと以下のように理解できると考えています。
・手帳市場の拡大とその結果としての伝統的な手帳の変化
まず、拙著『手帳進化論』(PHP研究所)でも触れたように、年玉手帳の減少によって生まれ、拡大した個人向け手帳の市場は、よりいっそう拡大し、それが既存の手帳にも大きな影響を与えています。その一つが、JMAMの能率手帳が、「NOLTY」ブランドに変わったことでしょう。
ビジネスマン向け手帳から、より広いユーザー層に向けたアイテムへとイメージチェンジをはかったわけです。
この背景にあるのが、上述の個人向け手帳市場における各種商品の爛熟的な登場であることは論を俟たないと考えています。雑貨メーカーや出版社などが次から次へと各種手帳を投入されたので、王者的なブランドもイメージを変えざるを得ず、それは同時に、JMAM自体が手帳の中身を見直していることでもあるわけです。
・手帳の役割の多様化
また、手帳の役割も単純なスケジュール管理ツールから、ライフログやネタ帳、健康管理や気分の記録と言ったように、多様な役割が求められるようになってきています。
その意味で、手帳はハードウェア面では旧態依然の日付入りノートでありながら、利用の実態としては、仮に同じ手帳を使っていたとしても、十人十色な活用がなされている、恐ろしく多様なあり方のツールになっていると考えられます。
そして、手帳のこういう機能は、実はブームとともに、既存のビジネスマン向け手帳のユーザーとは違う層が、各種手帳関連書や手帳特集の雑誌などを参考にしつつ、工夫してたどり着いた境地だとも言えます。
・スマートフォンの登場と普及
もう一方の流れとしては、デジタルツールの普及と、手帳としての利用が広がってきたことがあります。Googleカレンダーと、それと連携可能な各種スマートフォンの普及は、手帳を単なるスケジュール管理ツールとして使っている人には必要にして充分な機能を提供しています。また、スケジュールの公開や共有と言った、デジタルならではの機能もあります。
確かに、記録の素早さとか一覧性などの点では従来の手帳に一日の長があります。ただ、一覧性は、タブレットを利用することである程度カバーできます。
デジタルツールは今後もより多くの機能や利便性を獲得し、いろいろなアプローチで紙に近づいてくることは想像に難くありません。現に、GalaxyNoteシリーズ(サムスン)のように、ロック解除することなくメモがとれる機能などはすでに実現されているわけです。
・新機能を持つ手帳の登場
また、手帳自体も、前述したように根本的な構造は古いままですが、新しい機能を備えつつあります。
たとえば、フセンを利用したカンミ堂の製品のようなものもあります。さらに、スマホ対応のスマート文具「ショットノート」(キングジム)「キャミアップ」(コクヨ)などは、それぞれ「超」整理手帳(講談社)、ジブン手帳(コクヨ)の中に機能として対応するようになりました。
さらに言えば、前述のJMAMの新しいブランド「CANTA CALTA」には、スマートフォンを利用して手書きイメージをクラウドにアップできる機能を持ったものがあります。
手帳はこのように、名前こそ古いですが、その実態はかつてからは考えられないほど大きな変化に見舞われているというわけです。
10/2補記
すでにいくつかのメディアには対応していますが、新聞・雑誌・TVなどの取材も受けます。メールいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
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