前書きのパラダイムシフトにノックアウト![書類・手帳・ノート・ノマド]の文具術 #bungubon
本書の前書きにはこんな一文がある。
プロのアスリートたちが「道具」にこだわっていることを、ご存じでしょうか。
(中略)
プロフェッショナルという自覚があるなら、仕事の道具に、ぜひこだわってみてください。
プロのアスリートとは水泳の北島康介であり、野球選手イチローである。そして同時にビジネスパーソンとしての読者一人一人を指している。
そして道具とは、北島康介にとってのスイムウェアであり、イチローにとってのバットである。
この論を敷衍して著者は、ビジネスパーソンこそ道具にこだわれと言う主張をしている。 文房具こそは、プロのビジネスパーソンがこだわるべき道具であると(※)。
確かに文房具は仕事の道具である。そして文房具はこだわりの対象でもある。
だが、文房具へのこだわりを、従来的な趣味的な文脈から、プロアスリートにとっての道具と同じレベルであると明言したのは、美崎氏が初めてではないか。
文具はビジネスマンの道具であり、プロなら能率や成果を念頭に置いた形でこだわるべきである。
みんな気がついていたけれど誰も指摘しなかったこのことこそ、実は本書のもっとも肝要な部分ではないだろうか。それは、文房具を趣味の対象としてではなく、仕事の道具としてとらえ直す。大げさに言えば新しいパラダイムの提出していると言うことでもある。
同じ意味のことは別の部分にも書いてある
本書は、趣味のカタログ本ではありません。ビジネスツールとして文房具を「使いこなす」ことを意識しています。
という一文のほうがもっとわかりやすいだろうか。
これに続く6章に渡る本文には“プロが使いこなす道具”という視点が貫かれている。
ただ文章のスタイルは取り立てて変わっているわけではない。一つの道具についてワザとその効能が、ほぼ必ず実例とともに紹介されている。そのどれもがとても簡単な方法だ。
また、機能の中に独自の意味を与えて、それを仕事に生かすワザもある。
たとえば、『「結果を出す人」は~』にも紹介されていた小型メモ「デミ・クーパー」は、メモ面の真ん中にミシン目が入っている。これを、カットしてアイデアだしに使ったり、タスクの終了のタイミングでカットしたりと言った活用法が提案されている。
さらに既存のメモ帳にこのアイデアを応用するために、オルファの「ミシン目ロータリー」というミシン目をつける特殊カッターなども紹介されている。これを使えば、ミシン目をカットするというワザが、通常のノートやメモ帳にも応用できるというわけだ。
このように、本書ではある一つのアイテム、ツールの活用法が紹介された後、流れるように派生活用法が出てくる。ひとまとまりのネタは長くても4ページ、短いモノだと2ページ強程度だから、好きなところから拾い読みしたりもできる。
ビジネス関連書は、単に読むのではなくそこに書かれていることを実践して初めて役立つ。同じ書籍の体裁をとっているものでも、小説や写真集とはそこが異なる。読者が全6章を読み終わってから、もう一度前書きを読んだときに意識せざるを得なくなるのは、その点である。そしてその点をはっきり明示したことこそ、本書の際だった点ではないだろうか。
※ 道具にはアナログとデジタルがあり、同書中ではアナログを中心に紹介する旨の断り書きがある。iPad、iPhoneが登場するページもある。
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