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2010/12/17

『人生は一冊のノートにまとめなさい』(奥野宣之著 ダイヤモンド社)

 というわけで、今回は表題の本のご紹介です。

○ライフログの提案であり紙の力を限界まで紹介した『人生は~』
 『手帳は~』に比べると『人生は一冊のノートにまとめなさい』(ダイヤモンド社)のムードはきわめて穏健だ。一言で言えば、“100円ノートを使ってライフログをつけましょう。そうすればあなたは自分の人生をもっと味わうことができますよ”というムードである。『何気なく過ぎ去っていく日々を、「確固とした体験」にすること』(同書 17ページ)を目的とした記録のすすめだ。
 まず第一章で記録することの効能が説かれる。第二章ではどうやったら書くことが習慣化するかを解説。第三章では書くタイミングからポラロイドの活用、具体的な記入術、ノートに貼ると楽しいものなどを紹介。貼る物一つをとっても、一つ一つに著者ならではのこだわりの説明がなされる。普遍性というよりは著者個人の視点・見解であるが故の説得力がある。
 第四章は記録する事柄について。これは思ったこと、考えたこと、食べたもの、飲んだものなどのテーマと、記録のコツ(固有名詞を入れるetc)が紹介してある。そして最後の第五章では、こうやって作ったライフログをどうすれば読み返せるか、また読み返すとどんな効能があるのかを丁寧に語っている。
 付録の「ライフログを補助するツール23」はライフログ作成に役立つ文具の紹介だが、「シールメーカー」とか「強力磁石シート」のようなアイテムも紹介されており、ついつい自分のノートや手帳に取り入れてみたくなる。

 本書の底流をつらぬく基調は、“経験の記録”としてのライフログのすすめであり、その手段としての徹底的なアナログ力の活用である。そしてそれを実践している等身大の人間としての著者の人柄だろうか。これは想像だが奥野氏は年齢のわりにはかなりアナログでマメな人ではないだろうか。その事実は「なぜ、大切な記憶が消えていくのか?累計50万部突破!100円ノート整理術第3弾!」という鼻息の荒い帯の惹句とのコントラストとも相まって、よりいっそう読者に伝わるのだと思う。

 それはともかく、本書が、著者本来の意図とは別に、アナログのメリットをこれでもかと紹介している本であることは間違いない。ライフログに限らず、仕事管理のための手帳でも十分応用できるワザがたくさん紹介されており、紙の底力を再認識させられる一冊である。

 紙に記録を蓄積するというアプローチはやや古くさい感じがなくもない。言ってみれば京大カード時代の方法である、情報はひたすら蓄積し、インデックスをつけて活用する。もとにあるこの考え方が、デジタルな記録媒体がなかった時代のものだからだろうか。
 さてではそれがライフログという考え方に合わないのかと言えばけっしてそんなことはない。むしろデジタルな記録手段にはまねのできない素早さや写真や切手などを自在に貼ること、それを記憶再生のフックに使えることが紙のメリットであることがわかるからだ。
 余談だが、この本の編集で反則(ホメ言葉!)だなぁと思うのは、大学ノートを模した今や定番の表紙デザインもそうだが、表紙本文の上下にある、まるでキャンパスノートのような罫線だ。カラー口絵を除くどの見開きにもこの罫線があり、あたかも一冊のノートであるかのような錯覚を覚える。これが無意識のうちに文房具好きに“刺さっている”可能性は否定できないだろう。

○『手帳は~』と『人生は~』を一対として読むのがオススメ
 今回紹介した2冊の本は、どちらかではなく併読するのが望ましい。
 『手帳は~』で主張されているようなデジタル万能な考え方は、確かにスケジュール管理や情報の保存・活用、再利用という場面では絶大な威力を発揮する。
 そしてライフログをはじめとするメモにはやはりアナログなツールはまだまだ役に立つどころか、大いなるポテンシャルを秘めていると思えるからだ。
 というわけでこの2冊、両方ともオススメです。
 次回は、『手帳なんていらない-ソーシャルネットワーク時代の情報整理術-』(幸田フミ かんき出版)を紹介します。

  

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