『手帳はiPhoneに変えなさい』
以前のエントリーでもご案内した2冊の本をまとめてレビューします。と思ったのですが1冊ぶんが思いのほか長文になったので、2回に分けてアップします。ただし2冊が同時に現れたことの意味は別途考える必要があると考えています。もう一度2冊の書名を以下に記しておきます。
『手帳はiPhoneに変えなさい』(戸田覚 アスキー・メディアワークス)
『人生は一冊のノートにまとめなさい』(奥野宣之 ダイヤモンド社)
二冊は両方とも由緒正しい手帳関連書だと言えます。ダイヤモンド社はかつてのシステム手帳ブームのときに『スーパー手帳の仕事術』(山根一眞)を大ヒットさせました。また著者の奥野宣之氏はnanaブックス以来の『一冊にまとめなさい』シリーズをロングセラーとしています。
もう一方のアスキー・メディアワークスは、やはりシステム手帳のブーム時に『リフィル通信』というシステム手帳専門誌(!)を発行。また発売元が講談社に変わる前は、「超」整理手帳を販売していました。
要するに両社とも手帳をヒットコンテンツの一つとして持っているわけです。
タイトルが似通っているのは、明らかに奥野氏の第一作の影響ですが、内容はいろいろな意味で正反対といっていいでしょう。
ここで結論を述べてしまうと、この2冊はどちらかが正しいということはないと考えます。そうではなくて2冊を相互補完的に読み、活用するのが正しいのです。ではそれぞれの内容を見ていきましょう(以下は「だ、である文体になります」)。
○“やや過激な転向の勧め”『~iPhone』
手帳がブームみたいになっている現代はまた、スマートフォンが台頭しつつある時代でもある。そのスマートフォンをスケジュール管理ツールとして使える最大の理由がクラウドサービスの発達と普及だ。
GoogleカレンダーをはじめとするツールとiPhoneを同期することで、手帳を完全にiPhone(スマートフォン)に切り替えてしまおう。これが本書の主張だ。紙を100%否定するものではないとしつつもその主張はやや過激だ。
内容自体は平易だ。一例を挙げるとパソコンでのGoogleカレンダーでの予定入力や共有の方法を初心者にもわかりやすく解説している。
入力方法の工夫も紹介されている。iPhoneでは入力がとくに弱いが、これをBluetoothキーボードを使うだけでなく、単語登録を使ったり、できるだけパソコンを使ったりすることで克服しようとしている。また「ずらせる予定には記号をつけておき、調整しやすくする」などのアイデアも紹介されており、読んでいて飽きない。省略語を使って、スケジュールが月間表示になったときにもわかりやすくするテクは、アナログ時代から手帳を使っている著者の面目躍如と言うべきか。
また、スケジュールやToDoの各種アプリとその機能、詳細な設定方法ばかりか、時間管理の根本であるスケジュールとToDoの違いまで解説されている。これも最近のライフハック関連の類書にはないものであり、著者の書き手としてのキャリアの長さに裏打ちされた内容だと言える。紙の手帳だけを使っている人も、もしこの知識がなければこの部分を読むだけでも価値があるだろう。
さらに、紙のメモとの併用方法や、デジタルなツールを使った夢の実現方法などにも触れている。
さて著者の主張は書名通りで、スケジュールに関しては手書きのメリットはないと断言している。またアナログはどこにメリットがあるのかも明示してあり、その意味では偏った主張ではないだろう。ただし、これに違和感がある人もいるだろう。会社・部署によってはセキュリティポリシーで電子機器の利用はおろか持ち込みそのものが禁止されているケースがあるからだ。
ともあれ、それを差し引いてもiPhoneを手帳として利用するためのノウハウを、原初的な手帳術にも触れつつ解説してある本書は一読の価値があるだろう。
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コメント
iPhone小僧様
サイト拝見しました。なかなか面白そうなサイトなので後でじっくり見せていただきます。ありがとうございました。
投稿: 館神龍彦 | 2010/12/15 21:34
ご指摘ありがとうございます。修正しました。大変失礼しました。
投稿: 館神龍彦 | 2010/12/15 21:33
どちらも有名ですね^^
自分も読んでいますよー
投稿: iphone小僧 | 2010/12/15 09:50
『人生は一冊の手帳にまとめなさい』(奥野宣之 ダイヤモンド社)→『・・一冊のノート・・』ですね?
投稿: | 2010/12/14 11:15