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2010/09/14

「モレスキン」伝説のノート活用術

○記録用小道具の歴史はガイドブックの歴史

 流行の記録用小道具にとって、ガイドブックは今も昔も必須のアイテムだった。いつの時代も、その時々のガジェットには活用書籍が登場する。

 10年ほど前ならそれはHP200LXやPalm各機種、WindowsCE各機種のガイドブックだったはずだ。さらに10年ほどさかのぼると、システム手帳ブームの時代だ。このときに登場した『スーパー手帳の仕事術』(山根一眞 ダイヤモンド社)は時のベストセラーとなっていた。もっとさかのぼれば、1960年代後半の『知的生産の技術』(梅棹忠夫 岩波書店)があった。これは言わずとしてた京大カードの入門・活用書としての側面を持っていた。
(念のために言えば、拙著『システム手帳新入門!』(岩波書店)も、やはりガイドたらんとして書いた覚えがある)
 今なら、iPhoneをはじめとするスマートフォンのガイドブックがそれにあたるだろう。

 そして今回紹介する『モレスキン「伝説のノート」活用術』もまさにその流れに位置する、書籍だ。版元がダイヤモンド社であるあたり、まさに正統派だといえる。
 ガイドブックらしく、物としての由来から、基本的な使い方、応用テクニックや周辺グッズまでを網羅。この一冊でモレスキン活用が楽しくなる情報が満載されている。
 まず冒頭ではその歴史や由来からラインナップまでが説明される。
 続くページは使いこなしの基本例・応用例だ。書くときには必ず日付を入れることから始まり、ポケットの使い方や、ページ番号の入れ方とその理由などが説明される。
 モレスキンの特徴の一つはページ数が多いことだが、これもどう対処すればいいのか/考えればいいのかがきちんと書いてある。

○応用自在なテクニックの数々を満載

 モレスキンとて、歴史や由来を除けば単なるノートに過ぎないともいえる。そしてその単なるノートをいかに使いこなし使い倒すかについても書かれている。とくにユビキタス・キャプチャーの実践やGTD的なテクニックについては、具体的な図で説明している。
 私が面白いと思ったのは見開き2ページを4分割して、そこに符号を割り当て、ページと併せて情報に座標を持たせるような考え方を紹介した項目だ。
 そのほか、タグ、カテゴリわけ、アイコンなど、検索が弱いアナログなノート内の情報をいかに再利用しやすく、あるいは目立つようにするかのテクニックが豊富に紹介されている。
 本書の肝は実はこの部分だ。
 ここ数年、ノートをテーマとした書籍がたくさん登場している。そして本書は、アナログな仕組みを使って記入された情報を整理再活用するための提案を豊富に紹介している点が際立っている。
 その一方で、Evernoteとの連携提案もなされているし、GTD入門のようなページもある。また、Googleカレンダーとの併用法(記入テクニック)もある。
 こういう部分は、ノートを使っている多くの人には興味深く読めるはずだ。A6ノートやシステム手帳のユーザーにも十分に応用可能だろう。アナログなツールもやればここまでできるという例を知る意味でも必読だといえる。

○より“らしく”使うための情報

 本書の共著者は当然といえば当然だがモレスキンのヘビーユーザーらしい。
 そしてユーザーの使っているモレスキンの写真もたくさん載っている。これぞ、モレスキンというカットばかりで、どれもまねしたくなる。
 また、表紙のデコレーション、紙カバーの付け方、ペンの保持方法などのカスタマイズ、使い方の工夫も豊富に掲載されている。
 組み合わせて使いたい文具の情報もある。ペンやスタンプ、時間軸入りふせん、シールにペンホルダーなど、どれもモレスキンと組み合わせたときの効用も解説されている。
 シックな装丁と実用情報、すぐにまねしたくなるテクニックが満載の本書は、記録ツールとしてアナログなノートを使うすべての人に役立つ物ではないだろうか。

 蛇足ながら、モレスキン自体の魅力について考えてみよう。
 モレスキンの表紙を開いて万年筆で記入するだけで、200年前から存在するというこのノートを 長い時間の中で使ってきた幾多の人々の知的な営みの流れの中に自分もまたいるであろうことが意識無意識にペン先から伝わってくる。
 歴史のある海外の文具には、かつてはそれを使うことが、上記のようなニュアンスを感じさせる体験だったはずだ。おそらくブーム当時のシステム手帳(fILOFAX!)にもそんな雰囲気が伴っていただろう。
 これは、ほかの文房具が一朝一夕にまねすることのできない、モレスキンならではの特徴だろう。
 本書を読みながらそんなことを考えた。

モレスキン「伝説のノート」活用術 公式サイト

・以下は同書を紹介しているBlog

鹿田直樹の「読むが価値

マインドマップ的読書感想文

R-Style

シゴタノ

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コメント

KENさん

 表紙の素材などはともかく、デザイン的にはがんばって再現した方ではないかと思います。
 私は熱心なユーザーではないので何ともいえませんが、初のモレスキンガイドとしてはいいのではないでしょうか。
 コメントありがとうございました。

投稿: 館神龍彦 | 2010/09/20 11:12

内容に関するコメントは置いといて、せっかくのモレスキン本なので、モレスキンそっくりの装丁にしたら良かったのにと思います。 まあ、ほぼ日のガイドブックも、ほぼ日と同サイズ紙質で作ったら面白いと思うのですが。

投稿: KEN | 2010/09/19 19:16

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