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2008/12/31

『くらべて選ぶ手帳の図鑑』の本当の企画意図

 今回は今年最後のエントリーなので、このテーマ。

 昨年『手帳進化論』を書いた中でわかったのは、明治以来の手帳の歴史に通底する、精神性のようなものの存在だ。同書でも触れたように、日本の手帳は明治期の軍隊手牒と懐中日記に端を発する。そしてこの二つの手帳は、その発行する組織の時間感覚や行動規範を体現し、手帳を持つものにそれを浸透させる目的があった。特に軍隊手牒に含まれていた軍人勅諭は、現在に至る年玉手帳の社訓や社是の元祖とも言うべきものであり、常に参照し、それを身につけるべきものとして手帳に含まれていたわけだ。

 そして現在流行している有名人プロデュースの手帳も、実はよく似た構造を持っている。
 軍隊手牒における軍人勅諭に相当するのは、その手帳の解説書だ。ここに書かれている時間に対する考え方を実行するものとして専用の手帳が用意されているわけだ。つまり、カリスマ的な存在から提示された時間の使い方を実行するという点で、有名人プロデュースの手帳は明治期以来の日本の手帳の伝統を、年玉手帳と同様に踏襲していると言える。

※ 念のために言えば、軍人勅諭はもともと軍隊手牒とは別にあったが、第二次大戦当時の日本軍の軍隊手牒には含まれていた。

 こういう、いわば呪術的なニュアンスから手帳を解放することはできないか。手帳を使う一人一人のユーザーが、その種のニュアンスとはほとんど無関係に、自らの好みと使い勝手を純粋に優先して手帳を選ぶためのガイドが必要なのではないのか。
 手帳を使うすべての人に、自らが望む姿に少しでも近い手帳を選んでほしい。『くらべて選ぶ手帳の図鑑』を執筆した意図の一つは、まさにそういうことだった。

 その意図が果たされたかどうかは、読者のみなさまの判断になると思う。ただ、「私のこういうやり方ならうまくいきます」とか「この手帳さえ使えば時間が倍になります」といったような有名人のイメージやそれを使ったマーケティングに、手帳選びが左右されるような時代はもうそろそろ終わってもいいのではないか。私はそう考えている。

 今年もあと2時間足らずです。みなさまよいお年をお迎えください。

 
 

 
 
 

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コメント

大叔父は、妖怪変化なみの齢を重ねていますが、まだ生きていますW100歳は軽く超えているとおもいますよ。
大連の砲兵工廠で終戦を迎え、その後、左官クラスへ公務員登用が解けて、警察予備隊に入隊し、退官時は幕僚だったとおもいます。また、復員兵の帰国や軍人年金などの仕事もしていたようです。
自衛隊の退官後は重工業関連の企業の監査役などをしていました。

まっ昭和の化け物ですよ。

投稿: hika | 2009/01/09 00:14

hikaさん
 ご指摘の通り、手帳にはスケジュール管理目的以外のものもありますね。船員手帳などもその一例だと思います。資格や乗船履歴の記録が主な機能で、日付のついた記入欄はありません。
 コメントありがとうございました。

投稿: 館神龍彦 | 2009/01/08 22:08

hikaさん
 陸軍大佐だった親戚の方というのは、つまり第二次大戦(太平洋戦争)時に出兵されたということなのでしょうか?
 この点を確認したいのですが。どうぞよろしくお願いします。

投稿: 館神龍彦 | 2009/01/08 22:06

軍人手帳の発想は母子手帳などのようなものの根拠準令にひきつがれるものであり、アジェンダ的な手帳とは一線を引かれた方が良いと個人的には所感します。

投稿: hika | 2009/01/03 13:33

軍隊手帳もしくは従軍手帳についての補足
陸軍大佐であり戦後自衛隊で幕僚を勤めていた親戚に確認をしたところ

従軍手帳は個人に配布されていましたが、管理は中隊本部などで行う事が殆どであり、従軍期間中に一度も、実物を手に取った事がないという人も少なくなかったようです。つまり、どこそこの部隊に在隊したか、どのような叙勲歴や技能があるかなどが書いてある部隊の管理帳として機能していました。個人所有物でなく兵士達が持ち歩く事もなかった。あくまで後方が管理するためのものであり、自分の所属を他者に示すものではなかったようです。また、そういうものを持っているという自覚も殆どなかったもののようです。

投稿: hika | 2009/01/03 13:25

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