イメージ商品としての手帳
「私の中に俺が帰ってくる マークX」。テレビ画面には、こんなコピーとともに、佐藤浩市がハイウェイを運転するシーンが流れる。
このテレビCMは、視聴者に「マークXに乗れば、佐藤浩市みたいになれる」という情報を伝えている。 現在の手帳もこれとよく似ているのではないか。
すなわち、「○○式手帳」(※○○にはカリスマ文化人の名前が入る)という商品名を聞いた人は、 「この手帳を使えば○○さんのようになれる」と、思うわけだ。
今まで手帳は、ずっと地味な商品だった。特定のキャラクターを前面に出すことなく、 ひたすらベーシックな機能のみを訴求してきたのだ。ところが、2004年ごろからその事情が変わった。カリスマ的な文化人・ 経済人が自ら開発した手帳を、自らのイメージによってアピールするという商品になったのだ。
広告は、その商品を入手したときのイメージによって商品を売ろうとする。そういう役割を持っている。 そして今や手帳もそうなったのだ。
さらに言えば、開発者自らがイメージキャラクターになっているのは、かなり珍しいのではないか。似たような例は、 デザイン部部長が登場する日産のCMや、はたまた生産者の写真付きの無農薬野菜ぐらいだろうか。←この辺、ご存じの方がいたらコメントで教えてください。
いずれにせよ、 手帳は今や開発者=イメージキャラクターが宣伝するイメージ商品なのだ。
補記:'80年代のシステム手帳ブームにあっても、手帳はイメージ商品だった。 ただそのときは明確なイメージキャラクターは存在しなかった。せいぜい「システム手帳を持つ=クリエイティブでバリバリ」 という程度のことだったはずだ。
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