« 初めてのブログ | トップページ | PDAはどこへゆく »

2004/10/14

システム手帳に関するよくある誤解

 本書の主旨の一つは、システム手帳の本来の姿と可能性を、二十一世紀初頭の日本という時代にてらしてとらえ直すことである。だが、システム手帳に関する誤解は多い。本稿では“ありがちな誤解”のひとつひとつを検証することで、現在のシステム手帳を考えてみよう。

・システム手帳は分厚い
 “リフィルやカードでパンパンになったファイロファクス”。これこそよくあるイメージであり、最大の誤解である。だがよく考えると、'80年代の風景を思い出しているにすぎない。実際には今こういう状態で使っている人は少数派だ。だいたい、今や情報は手帳以外の場所、すなわち電子機器やネット上にある。逆に言えば、手帳がフォローし内部に保持すべき情報は歴史上もっとも減少しているともいえる。
 分厚いイメージは、一面の真実を伝えてはいる。システム手帳には、情報やグッズをガンガン詰め込めるからだ。綴じ手帳と違って、リフィルやカードケースなどをリング径の限界までファイルできる構造を持っているのだ。だがそうはならない理由の一つは前述のとおりだ。
 もう一つは、中身を自在にダイエットできる点だ。リフィルを大量に綴じるのも自由だが、はずして捨てるのも自由。それをしない手帳だけが分厚くなっていく。分厚い手帳はリフィルの交換や廃棄といったメインテナンスを怠った結果であり、手帳の機能を十分に発揮していない、いわばイレギュラーな状態だ。
 また、もともと薄いシステム手帳も存在する。リング径の小さい製品は、大量のリフィルを挟むのには向いておらず、スリムにして使わざるを得ない。“ナロータイプ”と呼ばれる、リフィルの幅そのものを狭くしたタイプや、もともとサイズの小さなミニ6穴のような製品もある。この点については、元の本の第三章にくわしく書いたのでそちらを参照してほしい。

・高価である
 '84年に最初に上陸したファイロファクスの「スタンダード」は、当時三万六千円だった。システム手帳の高価なイメージのルーツはこれだ。だが現在市場にある製品はもっと安価なものが中心だ。当のファイロファックスですら、エントリーモデルとして一万円台の製品を用意している。メーカーによってはもっと高級な製品もあり、全体として価格帯の幅は広くなり、選択肢は逆に増えているが、各種リフィルにしおり兼用定規まで含まれて5千円という製品すらある。
 市販の綴じ手帳が三千円程度で買えることを考えると、リフィル代だけで毎年数千円はかかるシステム手帳は割高かもしれない。だが、綴じ手帳にはないさまざまなメリットを持つ、まったく別のジャンルの製品だと考えると、高いとは言いきれないだろう。

・リングに紙がひっかかる
 これも使ってみればすぐわかることだが、リングがひっかかるような製品は現在ではほぼ皆無だ。システム手帳の金具を作っているメーカーは、数えるほどだ。国内主要メーカーの製品で使われている、“クラウゼ”ブランドだと、数万回の開閉に耐えると言われている。参考までに言えば、筆者のバインダーもこのブランドのリングだが、ひっかかりや開閉のしづらさを感じたことは一度もない。
 リフィルがリングに引っかかるもう一つの原因は、リフィルの詰めすぎだ。これも分厚くならないようにダイエットすれば、リフィルがリングにひっかかるのはさけられる。

・情報の更新ができない、リフィルが高価
 情報の更新は、リフィルの交換で可能。
インターネットが普及している現在では、Web上にあるさまざま情報を自分のパソコンに保存し、それを白紙リフィルに印刷すれば情報は簡単に更新できる。もちろん、地下鉄路線図や各種地図などは、市販の情報リフィルのほうが見栄えがいいが、こだわらなければこれも自作できる。時刻表の自作の例については、第6章に紹介したので、参照して欲しい。

・書類が挟めない
 現在のオフィスの書類サイズは、A判に統一されている。だから手帳にもこのサイズの書類にこだわるのならば、A5判のシステム手帳を利用すればいいだろう。バイブルサイズと違って、専用パンチで穴をあけ、二つ折りにすれば簡単にA4版の書類がファイルできる。
 バイブルサイズになると、さすがにA4判の書類をそのまま挟む訳にはいかない。どうしてもという場合は、第2章で触れたように四つ折りにすれば、バインダーにはさめる。だが書類が仕事相手に渡すものなら、別途書類ホルダーやクリアファイルを持ち、そこに保管して運ぶのがいい。そもそもパンチしたり、折り目がついたりした書類は、自分で参照するにはいいが、仕事の相手にそのまま渡すのには向いていないからだ。
 また、紙の書類の役割も変わりつつある。
 かつては書類=紙だった。だが、最近になって事情は変わりつつある。紙の書類は、パソコンやネットワーク上のデータのハードコピーという性格が強くなっていると思われる。
 筆者はよくこんな経験をする。打ち合わせの席で、プリントされたA4判の書類を出す。書類をたたき台に、その場でいろいろなやりとりがあり、それはA4判の書類の上に手書きで書きたされる。席を立つときには、「じゃあ、まとめなおしたものはメールしますね」となる。書類は、プリントアウトされた時点で、ネット上・パソコン上のものの紙バージョンとして使われる。
・紙の書類はデジタルデータの分身
 こういう場合、一番いいのはそこにノートパソコンがあり、やりとりのなかでリアルタイムで変更・追加点を元のファイルに反映することだ。そうすれば打ち合わせが終わった時点で、書類は完成。パソコンに通信カードや無線LANカードが装備されていればその場でコピーを相手に渡せる。受け取る方も、紙をみながら入力し直すより、このほうが手間もなくでスピードも速い。第3章で触れているようなメモリーカードを利用する方法もあるだろう。
 結論をまとめると、筆者は紙の書類を手帳で運ぶ必要はあまりないと思う。現代では、書類とは紙というよりも、デジタルデータの分身だからだ。

|

« 初めてのブログ | トップページ | PDAはどこへゆく »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: システム手帳に関するよくある誤解:

« 初めてのブログ | トップページ | PDAはどこへゆく »